メロディは完璧。歌詞も書き直した。フロウの練習も何度もやった。 それなのに、いざトラックに声を乗せて録音してみると、なぜか自分の声だけが浮いて聞こえる。カラオケで歌っているような安っぽさが消えない。
そんな壁にぶつかっていませんか。
まじめなアーティストほど、ここで「自分の歌唱力が足りないからだ」「もっとピッチを合わせなきゃ」と自分を責めてしまいます。
でも、少しだけ視点を変えてみましょう。実は、問題の根本はあなたの声ではなく、選んだ「ビート」にあることがほとんどなのです。
あなたの声が座る「椅子」はありますか
歌い手はつい、自分のメロディやフロウ、歌詞といった「自分の出力」ばかりに意識が向いてしまいます。
しかし、曲の完成度を最終的に決めるのは、声の良し悪しだけではありません。「声の居場所」がトラックの中に存在しているかどうかです。
どれほど素晴らしい演技をする俳優でも、立つべきステージが用意されていなければ、ただの路上パフォーマンスになってしまいます。
音が多すぎるビートの罠
ネット上でビートを探していると、どうしても派手で、音が隙間なく詰め込まれた「豪華なビート」に惹かれがちです。単体で聴くと、とてもかっこよく感じるからです。
しかし、それは大きな罠です。
すでにすべての帯域が楽器で埋め尽くされているビートには、後から入ってくるあなたの声が座る「椅子」がありません。無理やり声をねじ込んでも、楽器と声が喧嘩をしてしまい、結果的に声が弾き出されて「浮いて」聞こえるのです。
本当に優しいビートとは
プロが選ぶ良いビートとは、決して音数が多いものではありません。
・ボーカルの帯域に、意図的な隙間が作られている ・声が入った瞬間に、全体がすっと後ろに下がるような余裕がある
つまり、「声が座る場所」があらかじめ用意されているビートです。当サイトで提供しているトラックも、すべてあなたの声が主役になるように、この「引き算」の思想で設計されています。
自分の声が一番良く聴こえるビートに出会った時、あなたは無理に声を張り上げる必要がなくなります。まるで、ずっとそこにあったかのように、自然に言葉がトラックに溶け込んでいくはずです。
あなたの声は、もっと美しく響きます。 声を張り上げて戦うのはやめて、あなたの声を優しく迎え入れてくれる「居場所」を探してみてください。
マイクの前に立つのが、きっと楽しくなるはずです。

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